2012年3月23日金曜日

サラヴァ東京 2Days〜3/24(金)& 3/29(木)

偶然にもオファーが重なり、サラヴァ東京で今月末は2回のDJプレイです。
以下、いただいたインフォを転載させていただいます。
ぜひお時間ありましたら!





2012年3月24日(土)
OP. / ST. 19:00 ~ midnight
Charge:¥2,500(23:00 ~ ¥2,000)

http://l-amusee.com/saravah/schedule/log/20120324.php

Saravah!

ブラジリアン・ミュージックをこよなく愛するヨハン・クリスター・シュッツをスウェーデンから、北海道のコリーヌ・ベイリー・レイと評判の高い17歳の女性SSW和知里を北見から招き、Saravahレーベル日本代表、優河&ヒロチカーノとともにお贈りするスペシャルな一夜。Saravah名曲のカヴァーも披露。Saravahのコンピレーション『モンマルトル、愛の夜。』の監修者、橋本徹と彼の音楽仲間が勢揃いする豪華な顔ぶれによるDJプレイも聴き逃せません!

Live:ヨハン・クリスター・シュッツ(Peacebird)
Piece Of Peace
ヒロチカーノ(La Bossa)
和知 里
優河

DJ:
橋本 徹(SUBURBIA)
   小林 恭(ima)
   吉本 宏(bar buenos aires)
        
高木慶太
   富永珠梨(usen for Cafe Apres-midi)
   山本勇樹(Quiet Corner)
   ユズル(Lots Of Lovin')
        中村智昭(MUSICAANOSSA)





『VIVA POR SUPUESTO RECORDS』
2012年3月29日(木)
会場:SARAVAH東京
〒150-0046 東京都渋谷区松濤1丁目29-1 渋谷クロスロードビル B1
TEL/FAX 03-6427-8886

http://l-amusee.com/saravah/schedule/log/20120329.php

OPEN:19時〜
START:20時〜
前売券:¥3,000
当日券:¥3,500

LIVE:Port of Notes、高鈴、Qi Fang
DJ:中村智昭(MUSICAANOSSA/Bar Music)







<「ポルスプエスト・レコーズ」とは?>
音楽マーケットが圧倒的な力を誇っていた90年代に存在した「ポルスプエスト・レコーズ」。いわゆる洋楽的な邦楽アーティスト、“渋谷系”と呼ばれた作品をリリースして一時代を築いたレーベルが2012年のいま、音楽イベント『VIVA PORSUPUESTO RECORDS』として復活することになった。3月29日(木)、Port of Notesをメインアクトに迎えて、渋谷SARAVAH東京にて開催される。

1991年から1998年までに、b-flower、ネロリーズ、インスタント・シトロン、ハル・フロム・アボロ'98、パラダイスガレージ(豊田道倫)、ダイナマイト・マスターズ・ブルーズ・カルテット(DMBQ)、暴力温泉芸者、エドウィン・コリンズ、フライング・ソーサー・アタック、ザ・ペネロープス、ホワイト・カム・カム、B-2 デプト、フィリップスなどなど、知る人ぞ知るアーティストを輩出したミュージック・ラヴァーなレーベル、それが「ポルスプエスト・レコーズ」だ。


なお、メインアクトのPort of Notesのギタリストである小島大介氏は、かつて「ポルスプエスト・レコーズ」のスタッフだったことがある。そんな流れから、今回イベント出演へとつながったそうだ。他にも、名物レーベルマスターの秘蔵っ子と噂される日本語、中国語を操る女性シンガーQi Fangや、ゲストアクトとして高鈴の参加が決定している。


当日のライブの模様は、ライブ・レコーディングされ、終演後には会場限定でライブCDが即売されるというのも21世紀ならではの先進的な試みだ。渋谷系と、ソーシャル時代を紡ぐ画期的なレーベル・フェス『VIVA POR SUPUESTO RECORDS』に注目してほしい。

2012年3月19日月曜日

憧れのスタンリー・カウエルに会えました!


ブルージーなイントロからの「Equipoise」をはじめとする生『MUSA』を体感。そして、僕にとって特別なヒーローであることを直接伝えれてよかった! 彼のギャラクシー&DIW音源にスポットを当てたコンピレイション「ムジカノッサ・ジャズ・ラウンジ」CD3枚とディスク・ガイドも手渡せました。ジャケットには「Piece Music」、そして「Stanley Cowell」のサインは五線譜と共に!

2012年3月17日土曜日

スタンリー・カウエル『MUSA』を聴きながら、Bar Musicのオープン準備をしています。ビルボード東京でのスタンリー・カウエル・ソロ・ピアノ公演(1st)からBar Musicへ戻り、深夜はオルガンバーでの「オルガンレアグルー部」へ。お時間ある方、ぜひおつき合いくださいませ。

2012年3月16日金曜日

スタンリー・カウエル『New World』ライナーノーツ




スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ・ライヴが、いよいよ明日に迫りました。昨日UPしたディスク・ガイドはいかがだったでしょうか? 今夜は、2008年7月に『New World』 (Galaxy/1981)のリイシューに際して執筆したライナーノーツをどうぞ。





 僕は、スタンリー・カウエルが大好きだ。いつの時代にも高い精神性を持って音楽と向き合い、美しいメロディーを奏でるこのピアニストのことを想うと、どうしても胸が高鳴ってしまう。

本ライナーノーツでは、彼の歩んだ軌跡を辿ることを中心に話を進めたい。スタンリー・カウエルというアーティストの全体像をより正確に把握することで、78年の11月に吹き込まれた本作『ニュー・ワールド』の理解とその評価もまた、より明確になると思うからだ。

スタンリー・カウエル――1941年5月5日、オハイオ州トレド生まれの黒人ピアニスト。父はヴァイオリン奏者、母は歌手、姉と妹もピアノを弾くという音楽一家に育つ。4歳より姉にピアノの手ほどきを受け、6歳のときにはアート・テイタムの前で演奏を披露したこともあったという。14歳で仲間と共に演奏活動をはじめ、17歳のころにはユセフ・ラティーフのバンドに参加するほどの腕前を示した。58年にカルフォル二ア州オーリバン・カレッジの音楽院、62年に南カルフォル二ア大学、66年にアン・ハーバーのミシガン大学を卒業し、音楽博士号を取得。同年、マリオン・ブラウン『ホワイ・ノット』のレコーディングに参加。

ジョン・コルトレーンという圧倒的な存在が世を去った67年、“モード”と“フリー”を抜けた“ジャズ”は、その絶対的価値基準と明確な方向性を失いつつあった。スタンリー・カウエルという知性は、そうした混沌とした時代の中で、着実に船を漕ぎ出す。マックス・ローチ『不屈の闘士』(アトランティック)、ゲイリー・バーツ『アナザー・アース』(マイルストーン)、ジャック・ディジョネット『ディジョネット・コンプレックス』(マイルストーン)、などのレコーディングに参加・楽曲提供を行う。この時点で名だたるミュージシャンからの信頼をいかに獲得していたかが伺い知れる。そうして69年にリーダー・アルバム『ブルース・フォー・ヴェトコン』(ポリドール)、『ブリリアント・サークルズ』(フリーダム)を相次いで吹き込む。

70年代に入るころには共にマックス・ローチの楽団で腕を磨いたチャールズ・トリヴァーとの双頭バンドとなるミュージック・インクを結成。同時にインディペンデント・レーベルであるストラタ・イーストをやはりトリヴァーと共に立ち上げる。60年代からの黒人民族運動の流れを汲み、黒人の自立、真のアフリカン・アメリカン文化の創造をテーマとしていたストラタ・イースト。そのスタイルとして当時画期的だったのは、吹き込みの許可を与えられたグループのリーダーをプロデューサーに指名するシステム。それはつまり、全てのグループのリーダーが間接的にレーベルの経営に関わりながら、同時に“音楽の自由”を手に入れるということを意味していた。高い志のもとに運営されたストラタ・イーストには、ギル・スコット・ヘロン、ウェルドン・アーヴァイン、クリフォード・ジョーダン、ビリー・ハーパー、プァラオ・サンダース、ヒース・ブラザース、シャーリー・スコット、シャメック・ファラーなど、多くの優れた黒人音楽家達が集結する。そこには思想家・カウエルの理想を追求する姿があり、それがレーベルの重要な求心力となっていたことは間違いないだろう。

一方、ミュージシャンとしてのカウエルは『インパクト』(Enja)を最後にミュージック・インクを退団するも、7人の鍵盤奏者(ハロルド・メイバーン、ソネリウス・スミス、ヒュー・ロウソン、ナット・ジョンソン、ダニー・ミクソン、ウェブスター・ルイス、スタンリー・カウエル)によって結成されたピアノ・クワイヤーの実質的なリーダーを務め、自身のトリオ名義でもドイツの名門ECMから『イリュージョン・スイート』を発表、その評価を決定的なものとする。73年には初のソロ・ピアノ・アルバムで屈指の傑作『ムサ』(ストラタ・イースト)を吹き込んだ。また、ニューヨーク州が設立したジャズの公的創造・発表機関であるニューヨーク・ジャズ・レパートリー・カンパニーのミュージカル・ディレクターにも就任するなど、この時期特に充実した活動をみせている。さらに75年には『レゲネレイション』(ストラタ・イースト)をレコーディング。これは総勢13人にも及ぶミュージシャンと共に繰り広げるアフロ・スピリチュアル・ミュージック・プロジェクトという意欲作で、本アルバム収録の「アイム・トライン・トゥ・ファインド・ア・ウェイ」の初演も収録する重要作となった。

70年代後半、カウエルは自身の演奏活動により集中するためにレーベルの運営から距離を置き、ファンタジー傘下のレーベルであるギャラクシーと契約。77年にソロ作(一部自演多重録音・ベースとのデュオ曲含む)『ウェイティング・フォー・ザ・モーメント』、78年にソウルフルなヴォーカルをフィーチャーした『トーキン・アバウト・ラヴ』、79年に盟友セシル・マクビーと名手ロイ・ヘインズという鉄壁のメンバーによるピアノ・トリオ作『エクイポイズ』(キャリアを代表する自作曲でありアルバム・タイトルともなった「エクイポイズ」のここでの合奏は、感動的なまでに素晴らしい)をコンスタントにリリース。そうして81年にいよいよ本作『ニュー・ワールド』のお目見えとなるのだが、先に記したように録音は78年の11月、つまり実は前作『エクイポイズ』と同じタイミングかつ同メンバーでレコーディングされたものだった。ストリングスとホーンを加えることで予算などもそれなりにかかったと思われるのだが、なぜ2年以上もの間この音源がお蔵入りとなってしまっていたのか、はっきりとした理由は定かではではない。だがそれまでのギャラクシーにおける3作品のセールス面での問題が少なからず関係していたのではないだろうかと推測する。そしてこの『ニュー・ワールド』も当時、お世辞にも話題になったとは言い難い状況であったのかもしれない。メロウ、スピリチュアル、またはグルーヴという角度から光をあてた際に浮かび上がるその内容の素晴らしさについては後にも触れたいが、フュージョン~ディスコ旋風が吹き荒れた70年代後半を抜け、世の中がよりエレクトリックな方向へ向かおうとしていた81年にリリースされた作品としては、あまりにもアコースティックでヒューマンなフュージョン(融合)・サウンドであった。事実、ギャラクシーにおけるアルバムとしては本作がラストとなっていることは、そのことを物語っているように思えてならない。

80年代後半から90年代にかけてカウエルを温かく迎えたのは、日本とヨーロッパのジャズ・ファンだった。ここ日本ではディスク・ユニオンのレーベルであるDIWが87年に『ウィー・スリー』、92年に『クロース・トゥー・ユー・アローン』を制作。「シエンナ:ウェルカム・マイ・ダーリン」の鮮やかな再演(メロウなファースト・ヴァージョンはギャラクシー期『ウェイティング・フォー・ザ・モーメント』に収録)や、来日の際に訪れた洞爺湖の美しい風景にインスパイアされて生まれた「ウインター・リフレクションズ」など、印象深い名演を残している。デンマークはコペンハーゲンの名門“SteepleChase”は、『シエンナ』、『デパーチャー#2』、『ゲームス』、『ブライト・パッション』、『エンジェル・アイズ』、『セットアップ』、『ライヴ』、『マンダラ・ブロッサムズ』、『ヒア・ミー・ワン』といったアルバムを安定したペースでリリース。充実の楽曲群をトリオ、カルテット、ソロ、ヴォーカルと、様々なスタイルでモダンなカウエルを聴かせる。また、その間本国アメリカでも89年に『バック・トゥー・ザ・ビューティフル』、90年に『ライヴ・アット・メイベック・レシアル・ホール』をコンコードより発表、99年には日本のヴィーナス・レコードに『ダンサーズ・イン・ラヴ』を吹き込んでいる。

マリアン・マクパートランド等との一部の共作を除けば、以上が僕の把握している彼の作品の主たるディスコグラフィーだ。そして無数に存在する参加セッションを聴き進め、一聴してそれとわかる独特のタッチに出会うことによろこびを感じるのもまた、ファンとしての楽しみと言えよう。

ここからは、それまでメインストリームのジャズ・シーンからは大きな注目を集めることのなかったスタンリー・カウエルという存在が今日こうして評価され、さらには本作『ニュー・ワールド』がリイシュー~世界初CD化という形に至るまで経緯を、DJ、またはリスナー・サイドの視点から記しておきたい。

80年代の終わりから90年代の初頭にかけて、イギリスのDJ達を発端に巻き起こったレア・グルーヴ~アシッド・ジャズ・ムーヴメントは、50年代から80年代にかけて生み出された古いソウルやジャズ、ファンクなどにダンス・ミュージックとしての新たな価値観である“グルーヴ”を求めた。一方U.S.のヒップホップ・シーンでは、それらをサンプリング・ソースとして再生・伝達する動きが各地で同時多発的に活発となっていた。結果、時代に忘れ去られてしまっていた音楽的遺産たちは、次々と“発掘”されていくこととなる。そうした中、ストラタ・イーストとその作品群は伝説的な存在として注目を浴び、94年にはイギリスのソウル・ジャズ・レコーズからコンピレイション『ソウル・ジャズ・ラヴ・ストラタ・イースト』が組まれ(続編である『ストラタ-2-イースト』も97年にリリース)、ここ日本でもそれに呼応する形で96年にはカウエルのストラタ・イースト時代のアルバムである『ムサ』と『レゲネレイション』がリイシューされた。こうしてカウエルの“スピリチュアリティー”から生み出された“メロディー”は、“グルーヴ”や“ダンス・ジャズ”の括りを軽々を飛び越え、より多くの人々の胸を打つこととなる(僕もまた、その中のひとりだ)。

時は流れて2003年、ビルド・アン・アークがアルバム『ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ』をリリースする。アメリカ西海岸のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンに多大な影響力とネットワークを持つカルロス・ニーニョの呼びかけによって結成されたこのユニットのファースト・アルバムは、ヴォーカリストのドワイト・トリブルを中心に、トライブの創設者であるトロンボーン奏者/作曲家のフィル・ラネリン、ピアニストのネイト・モーガンといった、70年代のブラック・ジャズ・スピリットを現代に伝える重要人物達を招いて制作された。ファラオ・サンダース「ユーヴ・ゴット・トゥ・ハヴ・フリーダム」、ゲイリー・バーツ「ピース・アンド・ラヴ」、マイケル・ホワイト「ザ・ブレッシング・ソング」、ロニー・ロウズ「オールウェイズ・ゼア」などの歴史的名曲のカヴァーを数多く収録する中、カウエル作の「エクイポイズ」のカヴァーは、作品全体の極めて重要なポジションを担う。このアルバムはジャズやヒップホップに限らずあらゆるシーンから賞賛され、2000年代を代表する一枚となった。

そしてその『ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ』を世に送り出したレーベルであるオランダのキンドレッド・スピリッツが2006年に発表したコンピレイション『フリー・スピリッツーVOL.1』に、本作『ニュー・ワールド』の一曲目である「カム・サンデイ」が収録される。現在、最も信頼のおけるレーベルが、満を持して組み上げたスピリチュアル・ジャズのコンピレイションに、である。「アイム・トライン・トゥ・ファインド・ア・ウェイ」の別ヴァージョンを追いかけて、それ以前にこの名演に出会っていた音楽ファンは、なるべくしてシンクロすることとなった“時代の空気”の存在を強く感じたに違いないと思うし、このギャラクシー期のカウエルを初めて耳にするビルド・アン・アーク~キンドレッド・スピリッツの熱心なファンも、30年前すでにある地点にまで到達していた「クロスオーヴァー・ミュージックの完成形」と言い切ってしまっても過言ではないこの楽曲に、少なからずの衝撃を受けたのではないだろうか。そう、つまりは最新の音楽と同じかそれ以上に、今を生きる僕たちにとって、それが“心に響く音楽”であるということに他ならない。今回この『ニュー・ワールド』をきっかけにスタンリー・カウエルの音楽をこうして見つめ直す際、最終的に浮かび上がってくるのは、やはりそういうことなのだ。

実は僕は、主催する『ムジカノッサ』の名のもとに、ジャズのコンピレイションを制作する準備を数年前から進めていた。それはこの秋、ようやく二枚のアルバムとして形になろうとしている。コンセプトは、当初から変わってはいない。“ユセフ・ラティーフによる「スパルタカス~愛のテーマ」をフラッグに、これまであまり耳にされていなかったギャラクシー期のスタンリー・カウエルにスポットを当てる”こと。そしてその勝手な使命感は、このライナーノーツに不器用な形で反映されてしまったようだ。語りたいことはまだまだあるのだが、すでに指定された文字数を大幅にオーヴァーしてしまっている。それらはまた、別の機会にお話したい。

一昨年の2007年、SteepleChase期のアルバム数タイトルが初めて国内盤でリリースされ、まさにこの原稿を書いている最中に、長らく廃盤となっていたDIW期の『ウィー・スリー』もリプレスされた。こうして、静かにまた再評価が行われているスタンリー・カウエル。僕たちのラヴ・コールが本人に届いていることを祈るばかりだ。彼が愛娘である「シエンナ」の名と共に示した『新たなる世界』は、時代と世代と国境を越えていま、僕たちを導く。

2008年 7月 中村 智昭

スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ・ライヴが3/17(土)にビルボード東京で!



大好きな、大好きな、大好きなジャズ・ピア二スト、スタンリー・カウエルのライヴが3/17(土)にビルボードで! しかもアルバム『MUSA』セットだなんて! とにかく行くしか、観るしかないです!→http://www.billboard-live.com/pg/shop/index.php?mode=detail1&event=8020&shop=1

以下は、2008年制作のディスク・ガイド『ムジカノッサ・ジャズ・ラウンジ』に際して執筆した原稿です。もちろん
彼のキャリアの一部でしかないのですが、少しでもその魅力が伝われば幸いです。





「Equipoise(エクイポイズ)」ーーそれは2つのものごとの釣り合いをとるーーつまりは「平衡」を意味する言葉。スタンリー・カウエル作曲によるこのメロディーに、ストラタ・イーストからのソロ・ピアノ・アルバム『Musa』で出会ったのは、高校を卒業して間もないころ。それは言葉のない音楽がゆっくりと頭と身体に沁みてゆく、初めての体験でした。振り返れば、本格的にのめり込みはじめていたクラブ・ミュージックとの距離感に多少のジレンマのようなものを抱えていたようにも思えますが、今はまったく違う。その溝は埋まり、やがて地続きとなり、「Equipoise」を共に理解する仲間や友人達にも恵まれています。そして、ビルド・アン・アークの『Peace With Every Step』でのカヴァーには、感謝の念が絶えません。






Stanley Cowell / Musa(Strata-East / 1974)
亡き父に捧げたソロ・ピアノ・アルバムで、タイトルである『Musa』は彼のアフリカン・ネームからとられ、副題には“先祖からの流れ”とある。つまりこのアルバムは、彼のセルフ・ポートレイトと言えるもの。「Abscretions」や「Prayer for Peace」における気高さと、「Equipoise」「Travelin' Man」の静かなる優しさが、絶妙のバランスで同居する。カウエルの作品で最初の一枚と言われるならば、まずはこれを。





Stanley Cowell / Waiting for The Moment(Galaxy / 1977)
フェンダー・ローズとエレクトリック・グランド・ピアノでの自演多重録音に挑んだ第2面が特に素晴らしい。後にトリオで再演される「Sienna:Welcome, My Darliyng」には、カウエルの優しさが滲む。愛娘であるシエンナの名を冠した曲はいくつか存在するが、穏やかな表情で語られる本作に最も彼らしいタッチを見出せる。お馴染みのアフリカン親指ピアノ狙いなら、「Spanish Dancers」も。





Stanley Cowell / Equipoise(Galaxy / 1979)
ベースはセシル・マクビー、ドラムはロイ・ヘインズ。鉄壁のリズム隊と共に描くトライアングル。「Equipoise」でのベース・ソロはセシル・マクビーの残す録音の中でも指折りの名演で、崇高な精神性がそのまま音となって表れる。そして三者が再び合流する様は、言葉にできないほどに美しい。そこにあるのは各々の曲への深い理解と、ピアノ・トリオというフォーマットにおける無限の可能性だ。 



Stanley Cowell / New World (Galaxy/1981)
30年前、すでにある地点にまで到達していたクロスオーヴァー・ミュージックの完成形。慈愛に満ちたイントロに導かれる「Come Sunday」と、よりグルーヴィーに再演される「I'm Tryin' To Find A Way」。その先進性を鮮やかに指摘してみせたのは、ビルド・アン・アークを世に送り出したキンドレッド・スピリッツの手によるコンピレイション『Free Spirits Vol.1』。シーンとは常に、このようにあるべきだ。
※ユニバーサル・ミュージックさんからの世界初CD化に際して、ライナーノーツを担当させていただきました。また後日UPさせていただこうと思います。


Stanley Cowell / We Three(DIW / 1988)
「Sienna:Welcom My Darling」は、何年もの間DJ時に繰り返しプレイし続けてきた“ムジカノッサのテーマ”のような存在。ある夜は松浦俊夫さんが、別の夜にはラファエル・セバーグさんが「これは誰?」と笑顔でブースに来てくれたことを考えると、リリースされた88年からの長い間、もしかすると一部のファンのみが知る貴重な一枚だったのかもしれない。この曲は、あまりにも完璧に思える。





Stanley Cowell / Games(SteepleChase / 1991)
ギャラクシー期の『New Worrd』で披露されていた「Sienna: Welcome To This New World」のスリリングな再演、そして『Mandara Blossoms』でのヴォーカル・ヴァージョンも素晴らしい「From The Rivers Of Our Fathers」。「Abscretion」や「Imagine」を収録のソロ・ピアノ『Angel Eyes』ほか、SteepleChaseでのモダンなアルバム群は、ファンならどれも聴き漏らせない。 







Stanley Cowell / Mandara Blossoms(SteepleChase / 1996)
激動の時代を抜け、たどり着いた平安。場所はコペンハーゲンの名門SteepleChace。自らが見出した歌姫カレン・フランシスを全編に迎えてのヴォーカル・アルバムで、「Equipoise」にも歌詞を与えての披露となる。そして『Games』でのトリオ・ヴァージョンよりもさらにメロウに再演される「Rivers of Our Fathers」。メロディー・メイカーとしてのカウエルの才能を、嬉しくも再確認させられる一枚。

2012年3月3日土曜日

3/17 Sat.「レアグルー部」久々の開催!

しかもオルガンバーにて!
熱き盛り上がりは必至でしょう!
メンバーのプロフィールなどはまたあらためて!




3/17 Sat.
オルガンレアグルー部
[DJ]EN(横浜レアグルー部)・MASASHI HASHIMOTO (rare groove A to Z)・ykr(Master Donut)・中村智昭(MUSICAANOSSA)
[Guest DJ]小林径・大仏(organ bar)
[Live]SNATCH
[at]渋谷 オルガンバー
[info]03.5489.5460
※21:00~5:00の開催です。
http://yokorare.com/






2012年3月1日木曜日

DJ Schedule Early Spring 2012

3/2 Fri.
Modern Times Dinning
[Food]Modern Locus a.k.a. meg
[DJ]中澤 剛・中村 智昭 (MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※19:00~Food L.O.3:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/


3/14 Wed.
INVENTORY~ensemble of brasil~
[DJ]大島 忠智(IDEE Records)・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[Guest DJ]
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※20:00~1:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

3/16 Fri.

MICHELIN
[DJ]三浦信(COMEDY TONIGHT)・吉永祐介(Solla)・中村智昭(MUSICAANOSSA)
[Guest DJ]横山龍助(RARE DOROPS)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※21:00~4:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/


3/17 Sat.
オルガンレアグルー部
[DJ]EN(横浜レアグルー部)・MASASHI HASHIMOTO (rare groove A to Z)・ykr(Master Donut)・中村智昭(MUSICAANOSSA)
[Guest DJ]
小林径・大仏(organ bar)
[Live]SNATCH
[at]渋谷 オルガンバー
[info]03.5489.5460
※21:00~5:00の開催です。
http://yokorare.com/

3/20 Thu.(祝日・春分の日)
bar espresso
[DJ]吉本宏(bar buenos aires)・中村智昭(MUSICAÄNOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※18:00~23:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/



3/21 Wed. 
Count On Me
[DJ]渡辺亨(音楽評論家 / Toru II Toru)・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※20:00~1:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/


3/24 Sat.
Saravah! 
[Live]ヨハン・クリスター・シュッツ(Peacebird)・Piece Of Peace・ヒロチカーノ(La Bossa)・和知 里・優河
[DJ]橋本 徹(SUBURBIA)・小林 恭(ima)・吉本 宏(bar buenos aires)・高木慶太・中村智昭(MUSICAANOSSA)・富永珠梨(usen for Cafe Apres-midi)・ 山本勇樹(Quiet Corner)・ユズル(Lots Of Lovin')
[at]渋谷 サラヴァ東京
[info]03.6427.8886
※19:00~Midnightの開催です。

http://l-amusee.com/saravah/

3/28 Wed.
裸のイザベラ
[DJ]KTa☆brasil(ケイタブラジル)・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※19:00~23:30の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

4/6 Fri.
Modern Times Dinning
[Food]Modern Locus a.k.a. meg
[DJ]中澤 剛・中村 智昭 (MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※19:00~Food L.O.3:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

4/8 Sun.
Rhodes  Piano Session
[Live]木村イオリ(bohemianvoodoo)(pf) × 島裕介(Shima&ShikouDUO / silent jazz case)(tp)
[DJ]中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※16:00オープン、ライヴは1st / 17:00~、2nd / 18:30~、3rd / 20:00~の開催です。
※40名様限定、ミュージック・チャージ¥2000、お電話(Tel / 03.6416.3307)にてご予約を承ります。

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

4/11 Wed.
INVENTORY~ensemble of brasil~
[DJ]大島 忠智(IDEE Records)・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[Guest DJ]
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※20:00~1:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

4/22 Sun.
Bags Groove
[DJ]小林 恭(ima)・近藤 淳・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※18:00~23:00の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

4/25 Wed.
裸のイザベラ
[DJ]KTa☆brasil(ケイタブラジル)・中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※19:00~23:30の開催です。
※1Drink Order + Music Charge ¥300

http://www.musicaanossa.com/bar_music/

5/13 Sun.
Nobie、ローズ・ピアノと歌う
[Live]Nobie(vo)、伊藤志宏(p)、小森耕造(ds)
[DJ]中村 智昭(MUSICAANOSSA)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
※17:00オープン、ライヴは1st / 18:00~、2nd / 19:30~、3rd / 21:00~の開催です。
※着席/スタンディング40名様限定、ミュージック・チャージ¥2800、お電話(Tel / 03.6416.3307)にてご予約を承ります。

http://www.musicaanossa.com/bar_music/